根管治療とは何か?治療の流れや費用を解説
2025年06月27日(金)
歯のコラム
こんにちは。額田郡幸田町の歯医者「やまもと歯科醫院」です。

虫歯が深く進行して神経に達した場合や、外傷によって歯の内部が感染した場合に行われるのが根管治療です。歯を抜かずに残すための重要な処置であり、歯の根の中にある感染した神経や組織を除去し、内部をきれいにして密封することで、再感染を防ぎます。
適切に根管治療を受ければ、天然歯を長く機能させることが可能になります。
この記事では、根管治療の基本的な流れや費用について、わかりやすく解説します。
目次
根管治療とは

根管治療とは、歯の内部にある細い管状の空間(根管)に感染が起きた際に行う治療です。根管内には神経や血管が通っており、これらが虫歯や外傷によって炎症や感染を起こすと、強い痛みや腫れを引き起こすことがあります。
根管治療では、感染した神経や汚染された組織を除去し、根管内部を清掃・消毒したうえで、再感染を防ぐために密封します。
根管は非常に細く複雑な構造をしているため、治療には高い技術力と精密な作業が求められます。近年では、拡大鏡やマイクロスコープを用いた治療が普及しており、治療精度が飛躍的に向上しました。
適切に根管治療を行うことで、歯の保存率は大きく改善され、天然歯を長期にわたって機能させることが可能になります。
根管治療を成功させるためには、感染源を徹底的に除去し、細菌の侵入を完全に防ぐことが重要です。治療後には、被せ物などで歯をしっかり補強し、再感染や破折を防ぐ対策も欠かせません。
根管治療が必要になるケース

単に虫歯が進行した場合だけでなく、さまざまな状況で根管治療が必要となることがあります。ここでは、代表的なケースについて詳しく解説します。
重度の虫歯による感染
もっとも典型的なケースが、虫歯の進行によって神経まで細菌感染が及んだ場合です。初期の虫歯であれば、表層のエナメル質や象牙質の範囲に留まりますが、放置されると徐々に歯の奥深くまで進行します。
神経(歯髄)にまで感染が及ぶと、強い痛みや腫れを伴い、自然治癒は期待できなくなります。感染源を除去しない限り炎症が続き、最終的には抜歯しか選択肢がなくなるでしょう。
適切なタイミングで処置を行うことで、歯を残せる可能性が高まります。
外傷による歯の損傷
スポーツや転倒、交通事故などによって歯に外傷を負った場合も、根管治療が必要となることがあります。打撲や衝撃によって歯が折れたり、神経がダメージを受けたりすると、表面上は異常がなくても歯髄が徐々に壊死することがあります。
こうしたケースでは、時間が経過するにつれて歯が変色したり、痛みや腫れが生じたりすることがあり、根管治療によって内部の感染源を取り除く処置が求められます。
歯のひび割れや亀裂
肉眼では見えない微細なひび割れが歯に生じている場合も、細菌が内部に侵入し感染を引き起こすリスクがあります。特に、噛みしめや歯ぎしりの癖がある方では、知らないうちに歯に大きな負担がかかり、クラック(歯の亀裂)が生じることがあります。
亀裂が歯髄に達すると、外からは分かりにくいものの激しい痛みや腫れが起こり、根管治療が必要となります。
膿の袋ができている場合
レントゲン撮影などで歯の根の先端部に膿の袋が認められる場合も、根管治療が必要です。放置すると周囲の骨を溶かしたり、膿が排出されて慢性的な腫れや痛みを引き起こす原因となります。
状態を改善するには、感染源を取り除き、根管内をしっかり消毒・密閉することが不可欠です。
被せ物や詰め物の下で虫歯が進行した場合
一見問題なさそうに見える被せ物や詰め物の下で、虫歯が進行しているケースがあります。補綴物と歯の隙間から細菌が侵入すると、密閉された空間内で虫歯が進行しやすくなります。このような虫歯は外側からは発見しにくいため、痛みが出て初めて異常に気づくことが多いです。
虫歯が神経に達している場合には、補綴物を除去し、根管治療によって内部の感染源を取り除く必要があります。
痛みや違和感を繰り返す場合
過去に治療を受けた歯であっても、根管内部に細菌が残っていたり、封鎖が不十分だったりすると、再感染を引き起こすことがあります。痛みや違和感、噛んだときの鈍い痛みなどが現れる場合は、再び根管治療を行う必要があるでしょう。
根管治療の流れ

根管治療は複雑な手技が求められるため、治療は段階的に進められます。ここでは、根管治療の基本的な流れについて詳しく解説します。
診断と治療計画の立案
まず、歯科医師による問診と視診が行われ、症状や経緯について詳しく確認します。その後、レントゲン撮影やCT検査を用いて歯と歯根の状態、感染の広がり具合などを正確に診断します。
これらの情報をもとに、根管治療が適応となるかを判断し、治療計画が立てられます。治療方針や予想される治療期間、費用などについても、この段階で説明されます。
感染源の除去
虫歯や感染した組織を丁寧に取り除き、歯の中にある神経の空間(歯髄腔)へアクセスします。根管への入り口を作る重要な工程となります。
根管内の清掃と形成
根管内に到達したら、感染した神経組織や細菌、汚染物質を専用の器具を用いて徹底的に除去します。さらに、根管の形態を整え、洗浄・消毒がしやすい状態に形成します。
この工程では、細い針状の器具(ファイル)を用いて慎重に作業が進められます。根管の内部は非常に細かく複雑ですが、拡大鏡やマイクロスコープを使用すれば治療精度が高まります。
根管内の消毒
感染源を取り除いた後は、根管内をしっかり消毒します。消毒には専用の薬剤が用いられ、細菌の再感染を防ぐために、数回にわたり消毒処置が行われます。状況に応じて仮の蓋をして経過を観察し、症状の改善を確認しながら治療を進めます。
根管充填
根管内の感染が完全に除去され、炎症症状が治まったことが確認できたら、根管の内部を薬剤で緊密に封鎖します。これを根管充填と呼び、一般的にはガッタパーチャと呼ばれる樹脂素材を使って充填します。
隙間なく封鎖することで、再び細菌が侵入するのを防ぎ、歯を長期的に機能させる基盤を作ります。
土台(コア)と被せ物の装着
根管充填が完了した歯は、内部の構造が脆弱になっているため、土台(コア)を立てて補強する必要があります。コアには金属製やレジン製のものがあり、歯の状態に応じて選択されます。その後、歯全体をカバーするクラウン(被せ物)を装着して、噛み合わせや審美性を回復させます。
根管治療の費用

根管治療の費用は、保険診療か自由診療かによって大きく異なります。それぞれの目安は以下の通りです。
<根管治療の費用>
区分 | 前歯 | 小臼歯 | 大臼歯 |
---|---|---|---|
保険診療 | 約5,000円〜8,000円 | 約8,000円〜1万2,000円 | 約1万1,000円〜1万6,000円 |
自由診療 | 約5万円〜10万円 | 約8万円〜12万円 | 約10万円〜15万円 |
保険診療では、健康保険が適用されるため安価に治療を受けられます。表に示した金額は3割負担の場合の目安であり、治療部位によって異なります。なお、根管治療後にはクラウン(被せ物)の作製が必要になり、その費用は別途かかります。
自由診療の場合、最新機材や高品質な材料を使用して治療の精度を高めるため、費用は大きく上がります。前歯よりも根管の構造が複雑な小臼歯・大臼歯ほど治療費は高くなり、特に大臼歯の精密根管治療では15万円前後に達するケースも見られます。
自由診療では、マイクロスコープやCT撮影を活用して根管内を精密に確認しながら治療を進めるため、再発リスクの低減や歯の保存率向上が期待できる点がメリットです。
治療にかかる費用は、補綴処置(クラウン装着)も含めたトータルで考える必要があります。費用だけにとらわれず、症状や希望に合わせた適切な治療方法を歯科医師とよく相談しながら選択することが大切です。
まとめ

根管治療とは、虫歯や外傷などによって歯の内部にある神経や血管が感染した際に、歯を保存するために行う治療です。感染源を除去し、根管内を清掃・消毒したうえで密封することで、再感染を防ぎます。
費用は保険診療なら安く抑えられますが、自由診療では高額になることもあります。適切な治療により、天然歯を長期的に機能させることが可能です。
根管治療を検討されている方は、額田郡幸田町の歯医者「やまもと歯科醫院」にお気軽にご相談ください。
当院は、補綴歯科専門医として患者様の口腔の健康と快適な生活を支える治療を提供することに全力を尽くしています。診療案内ページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。