根管治療は最後まで!中断しやすいタイミングや中断のリスク

2025年11月08日(土)

歯のコラム

こんにちは。額田郡幸田町の歯医者「やまもと歯科醫院」です。

根管治療の歯を指さす歯科医師

虫歯が進行して神経まで感染すると、痛みや腫れが強くなり、放置すると抜歯が必要になることがあります。感染を防ぎ、歯を残すために行うのが根管治療です。

しかし、治療が複数回にわたるため、途中で通院をやめる人も少なくありません。根管治療を中断すると、感染の再発や歯を失うリスクが高まります。

この記事では、根管治療の目的や流れ、中断しやすい理由について解説します。自分の歯を長く保つために、ぜひ参考にしてください。

根管治療とは

根管治療のイメージ

根管治療とは、歯の内部にある根管という細い管の中を清掃・消毒し、細菌感染を取り除く治療です。

根管の中には神経や血管が通っており、虫歯や外傷によって感染すると、強い痛みや腫れが生じます。放置すると、歯の根の先に膿がたまり、最終的に抜歯が必要になることもあります。歯を失った場合は、入れ歯やブリッジ、インプラントでの治療が必要です。

できるだけ自分の歯を残すために、感染を除去して痛みを取り除き、炎症が広がるのを抑えるのが根管治療です。根管内を消毒したあと、薬剤を詰めて密閉し、細菌が再び繁殖しないように封鎖します。最後に土台と被せ物を装着して、噛む機能や見た目を回復します。

どのようなときに根管治療を中断しやすい?

どのようなときに根管治療を中断しやすいのか疑問を持つイメージ

根管治療は、数回に分けて行われることが多いです。通院している人の中には、途中で通えなくなったり、痛みが落ち着いて中断したりすることもあります。

ここでは、治療を中断しやすいタイミングや理由について説明します。

痛みや違和感がなくなった

根管治療の初期段階で感染源を取り除くと、痛みや腫れが一時的に改善することがあります。その結果「もう治った」と思い、治療を中断する方も少なくありません。

しかし、症状が落ち着いても、根管の奥に細菌が残っていることがあります。根管の内部は目視では確認できないほど複雑な構造をしており、完全に洗浄・消毒するには複数回の処置が必要です。痛みが消えた段階で治療をやめると、再発のリスクが高くなります。

仕事や家庭の都合で通院が難しくなった

仕事や家事、育児などで忙しいことも、根管治療を中断する理由のひとつです。近くの歯科医院の診療時間と仕事の休日が合わない場合や、小さい子どもの預け先がないケースなどが考えられます。

しかし、治療を途中でやめると根管内に細菌が入り込み、再び感染してさらに大掛かりな治療が必要になることも少なくありません。仕事のスケジュールを調整する、家事や育児は家族に協力を依頼するなどして、治療が完了するまで通院しましょう。

歯科医院に相談して、次回予約の時間を調整してもらうのもひとつの方法です。

費用や通院回数の負担を感じた

根管治療は治療回数が多く、被せ物を装着するまでに時間がかかるため、費用面での負担を感じやすいです。保険診療であっても、再診料やレントゲン撮影、被せ物の製作費などが加算される場合があります。

また、治療が長引くほど「まだ終わらないのか」と感じ、モチベーションが下がる人もいるでしょう。治療期間や費用について、初診時に歯科医師へ確認しておくと見通しが立てやすくなります。

治療への不安やストレスを感じた

根管治療では、神経の処置や歯の内部の清掃を行うため「痛そう」「怖い」と感じて通院をためらう方もいます。過去の治療で強い痛みを経験したり、長時間口を開けているのが苦痛だったりすることも理由のひとつです。

近年では、痛みに配慮した麻酔の使用や、短時間で精密に処置できるニッケルチタンファイル(根管内を清掃する器具)やマイクロスコープ(精密な顕微鏡)を導入している歯科医院も増えています。不安がある場合は、治療内容や進行状況を丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶとよいでしょう。

根管治療を中断するとどうなる?

根管治療を中断したために抜歯が必要になった男性

途中で通院をやめると、再感染や炎症の再発など、さまざまなトラブルを引き起こしかねません。ここでは、根管治療を中断した場合に起こりうるリスクを解説します。

痛みや腫れが再発する

治療を途中でやめると、根管の中に細菌が残り、時間の経過とともに再び増殖します。初めのうちは自覚症状がなくても、やがて歯の根の先に膿がたまり、ズキズキとした痛みや歯茎の腫れが生じることがあります。

根管内の感染が再発すると、再治療が必要になり、初回よりも処置が難しくなることが多いです。

感染が広がり歯を失う可能性がある

中断によって根管内に細菌が残ると、炎症が歯の根の先(根尖部)にまで及び、顎の骨に膿の袋(嚢胞)ができることがあります。根尖性歯周炎といい、歯茎の腫れや痛みだけでなく、膿が皮膚側から出てくることもある状態です。

感染がさらに進行すると、歯の周囲の骨が溶け、歯を支えられなくなります。その結果、最終的に抜歯せざるを得ない場合もあるのです。

抜歯後の治療が必要になる

感染が悪化して歯を失うと、ブリッジやインプラント、入れ歯などの治療が必要になります。噛む機能や発音する機能を回復できますが、天然歯とまったく同じ状態にはなりません。

機能性を高めるには自費診療のインプラントが選ばれますが、治療期間がかかるうえに費用が高額になります。

また、歯を1本失うと、隣の歯が傾いたり、噛み合わせが変化したりするなど、口腔全体のバランスにも影響します。抜歯を避け、できるだけ自分の歯を残すためにも、根管治療は最後まで受けきることが大切です。

根管治療の流れ

根管治療のためのレントゲン検査

ここでは、一般的な根管治療の流れについて解説します。

レントゲン撮影と診断を行う

最初に、レントゲン撮影やCT検査を行って虫歯の進行度や炎症の範囲、根管の形状を確認します。根管は細く複雑に分かれており細菌が残りやすいため、形状を把握しておく必要があるのです。

レントゲンで歯の根の先まで感染が広がっていることが分かれば、根管治療が必要と判断されます。

神経を取り除く

虫歯が神経まで到達している場合、感染した歯髄を完全に取り除きます。歯髄は、血管や神経が含まれる組織です。細い専用の器具を使って神経を取り除き、根管の内部をきれいに清掃します。麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。

根管内を洗浄・消毒する

神経を取り除いたあとは、根管内に残った細菌や汚れを取り除くため、専用の薬液で洗浄・消毒します。洗浄と消毒が丁寧に行われていないと、細菌が残って再び炎症を起こす可能性があります。そのため、複数回に分けて慎重に消毒を行うことが多いです。

その後、仮の薬を入れて仮の蓋をし、次回の治療まで感染を防ぎます。

根管に薬剤を詰める

根管内が清潔になったら、再び細菌が侵入しないように薬剤を隙間なく詰めて密閉します。専用の器具を使って隙間が生まれないようにしっかり密閉することで、再感染を予防できます。

土台(コア)を立てる

根管治療で神経を取り除いた歯は、内部が空洞になりもろくなるため、そのままでは被せ物を支えられません。そのため、コアと呼ばれる土台を立て、被せ物を固定できるようにします。コアには金属や樹脂などの素材が使われ、歯の強度を補う役割を果たします。

被せ物を装着する

最後に、歯の形や噛み合わせに合わせて作製した被せ物(クラウン)を装着します。クラウンを装着すると、見た目や噛む機能が回復し、再感染のリスクも減らせます。

まとめ

中断せずに根管治療を受ける男性

根管治療は、痛みを取り除くだけでなく、歯を長く残すために欠かせない治療です。根管の奥には細菌が残りやすく、複数回に分けて丁寧に洗浄・消毒を行う必要があります。

そのため、仕事や育児などで忙しい方や、痛みが軽減した方など、治療を中断する方も少なくありません。

しかし、途中で治療を中断すると、再び細菌が繁殖して痛みや腫れが再発し、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。天然の歯を守り、健康な口腔環境を維持するためには、最後まで根管治療を受けることが大切です。

治療が完了するまでしっかり通院し、疑問や不安がある場合は歯科医師に相談しながら進めましょう。

根管治療を検討されている方は、額田郡幸田町の歯医者「やまもと歯科醫院」にお気軽にご相談ください。

当院は、補綴歯科専門医として患者様の口腔の健康と快適な生活を支える治療を提供することに全力を尽くしています。診療案内ページはこちらWEB予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。